元気になると祖母にいわれて まむしの粉蜂の子肝油山羊の乳     それより父は背ばかりの人 背負われて見しとう河の記憶なく     同じ痛みの人案じらる 癒えぬ手を庇い生くれば世の狭く     桜並木の夕映えのとき 裸木の小枝数多が空を突く     叔父の遺影に祖母が嘆きし 憲兵になってから暗い眼だったと


 





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