夕暮れの路雨降りやまず ふり向きしわれの後に誰もいぬ     うす紫は風に光れり 藤棚のうえよりなだるる百房の     梅枝しかと花芽ととのう 淘汰さる流動の世の風の中     訪う人なきに輝きており 萌えいでて香りただよう葉桜の     昭和がいまだ鎮まらぬ秋 パンドラの箱を開けたる世相にて


 





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