未明ひそかに短歌書きとむる 両の手で羽撃く夢も見ずなりて   おとぎ話のように語らう この町に蛍とぶ日のありしこと   斬首切腹なき世となりて ずうらりとならびてまたも頭をさげる   町内の決まり殖えたる夕べ 野良猫に餌与えるなまたひとつ  
                             
       あれは十二の大雪の朝 いっしんに父の靴跡辿りたり   テレビ画面に男ら礼する 又何かありしか厨にて振り向けば   子供の図鑑をめくりて更ける われを蔑す言葉かなしく疼く夜は  

 


な  み

  叩きつつゆくあの子は孤り 夕暮れのガドレルを釣竿で  

 

 




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